リハビリ振動装置

リハビリ振動装置

リハビリ振動装置とは、固定される振動数で振動すると、運動する人の手に反力を生成して筋肉グループを収縮させる運動器具です。

この例題では、そのような装置をAnyBodyでモデル化することと、モーションキャプチャデータを利用せずに、3つの異なる動作種類で得た結果を評価することを目的とします。

 

 

① モデル化

 

 

AnyBodyでは、振動バーのモデル化方法がいくつかあります。
装置の重量や固有振動数という公開されている情報に基づいて、モデル化方法を選択しました。

バーを3つの要素で別け、ハンドルと振動する両端となります。また、それらの両端には、重りを付けます。各端部は、回転ジョイントでハンドルに接続し、ドライバーで振動します。

 

装置についてAnyBodyに入力した情報:
・ 長さ      = 122 cm
・ トータル重量 = 0.68 kg
・ 重りの重量  = 0.15 kg
・ 固有振動数  = 4.5 Hz
・ 慣性モーメント(Jii)

人体モデルの設定された拘束条件:
・ 重力中心はいつも両足の間に位置する。
・ 両足は地面に固定される。
・ 両手はハンドルに基準ジョイントで接続する。

② 動作の定義

 

 

手の動作は、運動が有効にするために、バーの固有振動数と同様に振動することにします。

設定
・ 振幅 = 2 cm
・ 振動数 = 4.5 Hz
 

動作①
バーを胸の高さに押し引き運動をおこなう。

動作②
バーの曲がる側が下に向かい、上下運動をおこなう。

動作③
両手を組んでバーを持ち、左右運動を おこなう。

 
実時間に近いスピードで動作①をおこなう骨格モデル
 

③ 解析結果

 

解析結果は、2サイクルで(0.44 s 頃)出力します。・運動アニメーションと各筋活動量のコンター
・バーの反力ベクトルはハンドルの所に表示(緑線)
・最大筋活動量の時刻歴(左表)
・L4-L5腰関節反力の時刻歴(右表)

 

動作①
押し引く時の最大筋肉活動は50%となり、上腕筋、前鋸筋、大腰筋が有効に働かせます。
また、最大L4-L5脊椎関節反力は、873 Nとなります。

 

 

動作②:
上下運動をおこなう時の最大筋肉活動は94%となり、上腕筋、腹直筋、L5-仙骨多裂筋が有効に働かせます。また、最大L4-L5脊椎関節反力は、1413 Nとなります。

 

 

動作③:
左右運動をおこなう時の最大筋肉活動は100 %となり、外腹斜筋、内腹斜筋、腰方形筋が有効に働かせます。また、最大L4-L5脊椎関節反力は、1660 Nとなります。

 

④ 評価/比較

 

各動作は、装置の振動数で(毎分270回)筋肉を収縮させることが判ります。
⇒ 動作①は、一番おこないやすくて安全となります。
⇒ 動作②は、動作①より筋力が必要となり、一番脊椎筋力がかかる動作となります。
   また、L4-L5脊椎関節にかかる反力は、動作①より62 %高くなります。
⇒ 動作③は、収縮させる筋肉が一番多いことが判ります。しかし、最大筋活動量が局所的に
   100%となっており、運動する人によりこの動作が実行できない可能性があると考えられます。
※ AnyBodyでは、自由度が高く、設計者がるさまざまなパラメータスタディがあります。
目的に対応して、装置の重量分布、長さ、振動数、柔軟性や動作の振動数、振幅等という体に影響する要因を調査することが可能となります。

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