OpenFOAMによるスターティックミキサーの解析

OpenFOAMによるスターティックミキサーの解析

OpenFOAMによるスターティックミキサーの解析





設計製造の分野では、複数の原料を均一に攪拌するプロセスが様々な場面で必要になります。その際、対象となる原料の物性によって適切な攪拌条件は容易に変化します。実験をベースに条件を調査すると、モックアップ(試作機)による試験やスケーリングの問題解決等に膨大なコストが必要になります。シミュレーションソフトを利用すると、実験で必要となる工数を大幅に削減する事ができます。本資料では、シミュレーションソフトの利用事例として、スターティックミキサーによる2種類の液体の攪拌解析を紹介します。

スターティックミキサー

 原料の攪拌方法は様々なものが存在します。例えば、攪拌槽は回転翼等の駆動部の運動により攪拌を行います。一方、スタティックミキサーは、駆動部の代わりに連結したエレメントによって攪拌します。一般的に、スタティックミキサーは、エネルギー効率等の面で攪拌槽に比べて優れていると言われています。

 スタティックミキサーは、エレメントの形状効果により、流体に分割作用、転換作用、反転作用が働き、原料は攪拌されます。エレメントの形状は多数あり、材料特性や求めている攪拌精度に応じて、適切なエレメントを選択する必要があります。

 一方で、十分な攪拌効果が得られるまでエレメントを連結する必要があります。さらに、対象の流体特性の組み合わせによって、必要となるエレメント数は容易に変化します。

シミュレーションソフトによる検討

 実験をベースに適切な攪拌条件を検討する場合、一般的に初めに試作機で多数の条件変更した試験・測定を行い、十分な精度が得られることが確認できたら、実際の成形機で運用する流れになります。その際、スケーリングの問題が発生する事が多いため、攪拌状況を制御する重要な因子の調査や、最低限必要な製造条件の割り出しなどにも工数が必要になります。

 シミュレーションソフトを利用すると、初めから実物の成形機スケールで検討できるため、スケーリングの問題から解放されます。PC上の仮想的な検討では、実物のエレメントや実験設備を準備する必要がなく、製造ラインを止める必要もありません。シミュレーションソフトは、様々な条件(流入速度、物性値等)を容易に変更でき、測定が難しい内部プロセスの解明、攪拌状況の確認、必要となるポンプ性能が事前に確認できるため、適切な攪拌条件の調査工数を大幅に削減する事ができます。

OpenFOAM計算例

 ライセンスフリーの流体ソフトOpenFOAMを利用したスターティックミキサーの解析事例を示します。図3-1に示すスパイラルタイプのスタティックミキサーにおいて、ヨーグルトと果汁ソースの攪拌状況を調査しました。流入口1からヨーグルトを、流入口2から果汁ソースを流し、内部の攪拌状況を確認します。



 図3-2に中心断面における果汁ソースの濃度分布を、図3-3に流速分布を示します。





 図3-4に流線を、図3-5にエレメント表面の圧力のコンター図を示します。





 図3-6に、代表的なYZ断面としてエレメント端部における果汁ソースの分散を示します。分散は、各メッシュで平均濃度からの誤差の2乗を元に算出します。分散が大きいほど果汁ソースが不均一であることを(図3-7 A)、逆に分散が小さいほど均一に混ざっていることを示します(図3-7 B) 。このため、分散を確認することで、攪拌状況を数値データで確認・比較できるだけでなく、必要となるエレメント数を予測することができます。





まとめ

 シミュレーションソフトを利用することで、内部の攪拌状況を確認する事ができます。求めている攪拌精度に応じて、必要となるエレメントの個数を予測できます。
流入速度や物性値(密度や粘度)を変更した計算も簡単に行えます。スケーリングの問題からも解放されるため、実験をベースにした適切な攪拌条件の調査に比べ、工数を大幅に削減する事ができます。

 図3-2で示した流体を着色する機能は、スターティックミキサーだけでなく、攪拌槽の解析でも内部の攪拌状況を確認する際の強力なツールとなります。

参考:「CFD解析における着色機能」



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