AnyBody通信 Vol.1 人間の作業と自動化

AnyBody通信  Vol.1 人間の作業と自動化

AnyBody通信 Vol.1 人間の作業と自動化

新コラム「AnyBody通信」が始まります。内容はAnyBody技術スタッフのブログ的なもので、
 - 筋骨格関連の話題(AnyBody, OpenSIM, 論文解説、解析小ネタ、MoCap情報など)
 - 世の中にある技術話題を、Anybodyや筋骨格モデルの視点で解釈してみる
などを予定しています。どうぞご期待ください。





人間の作業と自動化

 建設現場で鉄筋結束自動ロボットの改良が進んでいるという記事を紹介します。

『鉄筋結束の相棒ロボット「トモロボ」、土木・インフラ工事の“太径”に対応』

  この記事には、鉄筋結束自動ロボットとは従来の鉄筋結束作業を人にかわって行うもので、『人とともに働くをコンセプトに、土間・スラブなどの単純な結束作業から職人を解放し、より高度な作業への注力を可能にする「職人力発揮ツール」として開発』(同記事より引用)されたと説明があります。そして、コア作業となる鉄筋結束のメカ部には、『本体の左右に、市販されている鉄筋結束用の手持ち電動工具(マックス製の鉄筋結束機RB-440T)を2台取り付けるだけで、作業者の負担となっている鉄筋結束が自動化する』(同上)とあります 。鉄筋結束自動ロボットの秀逸な点は、職人が行ってきた結束作業そのものが製品で実現されていることだと思います。そして、どんなに自動化(無人化)が進もうと、コア技術として採用される、廃れないで生き残る技術がある、というのは非常に素晴らしいことだと思います。

 記事で紹介されているマックス製の鉄筋結束機は、以下のものです。

『TWINTWER RB-400T-E | 鉄筋結束機ツインタイア | マックス株式会社』

 ページ中段の”製品特性“の説明部に、この鉄筋結束機が持つ特徴である身体負荷低減効果が解説されていて、あわせてAnyBody解析内容が掲載されています。



 この製品は、厚労省 令和2年度 高年齢労働者安全衛生対策実証等事業において、腰痛リスク低減対策としてAnyBodyを用いた実証検証が行われました。

令和2年度「高年齢労働者安全衛生対策実証等事業」について

同時に、興味深いレポートも公開されています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000761533.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000761528.pdf

身体負荷解析の先に見えるもの

 最近、建設作業にAnyBodyで関わる機会が増えています。主に、作業者の身体負荷の解析を行いますが、目的は ①現状の様々な建設現場で人間が行っている作業の身体負担の可視化・把握と、②作業者の高齢化に備えたアシストデバイス導入などの負荷低減策の検討、というようなものです。そして、その先には ③AIやロボを活用した省力化/プラント化/無人化への移行プロセスを見据えているのでしょう。

 冒頭の鉄筋結束自動化ロボは、まさに、①→②→③のプロセスをたどっている例といえるでしょう。

 すべての作業行程を、何でもかんでも人手ゼロにするということはなく、②→③のプロセスのあいだには「②’ 作業行程の中で大きな人体負荷となるもの、危険なもの、どうしても人手作業として残るものなどを把握し、ロボに任せられるものとそうでないものを分類仕分けする」という重要な準備プロセスが含まれることに注目すべきです。どんなにロボ化が進んでも、人手による作業は必ず残るということです。

 将来、単純な力技と、単純な作業はロボに任せられるようになったとして、その時はまさに冒頭の記事にある『職人を解放しより高度な作業への注力を可能にする』ごとく、熟練者の有する技術がクローズアップされ、より一層、高度な人間作業が求められるのだと思います。

 AnyBody解析によると、①②については、
 ①…人間が行っている作業の身体負担の可視化・把握:これはまさにAnyBodyの王道的な使い方と言えるでしょう。
 ②…作業者の負荷低減策(アシストデバイス導入など)の検討:人体+外部環境物(デバイス)といった使い方もまたAnyBodyの強みで、これには十分な実績があり、多くの方に認められた特徴であります。



 では、仮に ②’で高度な人間作業のみがチョイスされて、課題が「人間に対しての力学的な負荷以上の問題」となったとき、果たしてAnyBody筋骨格解析には何ができるのでしょうか?

 実は、AnyBody人体筋骨格解析で得られる筋肉800本の情報(筋発揮力、筋活動度、タイミング)からは、トルク・反力といった力学的諸量以上のよりリッチな情報が引き出せる可能性があります。それは、推定された数多くの筋情報から「どのようにヒトは巧みに身体をコントロールしているのか」といった運動制御(モーターコントロール)にかかわる情報です。

 この話は、次回、身体活動と筋シナジーに関するコラムで説明します。




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