サロゲートモデルを用いた冷蔵庫の扉の発泡解析

サロゲートモデルを用いた冷蔵庫の扉の発泡解析

ポリウレタン発泡成形シミュレーションソフトウェア InspirePolyFoam を用いた解析事例をご紹介します。
InspirePolyFoamでは、注入材や金型の温度、注入ノズルの経路や注入速度などのパラメータを指定して発泡解析を実行できます。これにより、注入材の流動や発泡の様子、圧力・温度の分布などを可視化することが可能です。

本事例では冷蔵庫の扉に対する発泡解析を行いました。高速計算モードを用いて、注入材温度や金型温度、注入ノズルの経路を変更した複数のケースを計算し、それらの結果からサロゲートモデルを構築しています。
サロゲートモデルは、計算結果を短時間で得られるため、最適なパラメータの組み合わせを効率的に探索することができます。さらに、そのモデルから得られた最適パラメータをもとに再度InspirePolyFoamで解析を行い、サロゲートモデルの精度を確認しています。

以下の動画で冷蔵庫の扉の金型に材料を注入する様子を示しています。

動画:冷蔵庫の扉モデルへの材料注入

今回のケースでは、金型温度、注入温度、ノズル経路の始点座標と終点座標の4つを入力パラメータとします。これらのパラメータを網羅的に探索しようとすると、4つのパラメータの組み合わせに対して
(ケース数)=(各パラメータの設定数)^4
となり、非常に膨大な計算時間が必要になります。
この課題を回避するために、各パラメータの設定数を3〜5パターン程度に限定した上で計算を実施し、より少ないケースでサロゲートモデルの構築を目指しました。

複数の解析ケースを効率的に実行するため、HyperStudy を活用し、設計探査を行いました。HyperStudy上でパラメータを設定し、入力ファイルの生成と計算の自動実行を行っています。

HyperStudyに表示された多数の計算ケース。
画像:HyperStudyで作成した計算ケース

下表のように、金型温度、注入温度、ノズル経路の始点座標と終点座標をパラメータとして変化させます。

表:変化させるパラメータの一覧

金型温度(K) 注入温度(K) ノズル経路始点(m) ノズル経路終点(m)
284.5 268.3 0.05 0.05
305.6 288.2 0.15 0.15
326.7 308.1 0.25 0.25
347.8 328.0 0.35
0.45

この結果、4 × 4 × 3 × 5 = 240ケースの計算を実施しました。
合計計算時間は約120時間です。

InspirePolyFoamから出力された計算結果のサマリーテキストをもとに、上記パラメータに対する平均圧力などの応答データを集計しました。下画像は入力パラメータと、サマリーテキストから得られた平均圧力などの結果データの一覧です。


画像:HyperStudyの入力パラメータとサマリーテキストから得られた結果の画像

次に、機械学習プラットフォーム RapidMinerを用いてサロゲートモデルを作成します。

集計したデータをCSV形式に書き出し、RapidMinerのAutoModel機能でサロゲートモデルを構築しました。


画像:RapidMinerのAutoModel画像


画像:サロゲートモデルによるパラメータ探査の画像

得られたサロゲートモデルにより、最も平均圧力が小さくなるパラメータの組み合わせを導出しました。右の画像に示す通り、推定平均圧力は146,784 Paでした。

このパラメータセットをもとに再度InspirePolyFoamで計算を行ったところ、平均圧力は146,631 Paとなり、サロゲートモデルが予想した平均圧力と非常によく一致する結果が得られました。

このように、シミュレーションでは多数の計算実行に時間がかかりますが、サロゲートモデルを作成することで短時間で最適な入力パラメータを探すことができます。

画像:最適パラメータセットを利用したInspirePolyFoamの計算結果

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