蝶のはばたき運動時の流体解析

蝶のはばたき運動時の流体解析

蝶のはばたき運動時の流体解析

Altair AcuSolve(以下、AcuSolveと表記)は有限要素法を用いた汎用熱流体解析ソフトです。
AcuSolve単独、または他のソルバーと組み合わせることにより流体-構造の連成解析が可能です。
この記事ではAcuSolveと汎用機構解析ソフトAltair MotionSolve(以下、MotionSolveと表記)による連成解析の事例「蝶のはばたき運動時の流体解析」を紹介します。



 蝶は、翅の回転(flapping運動)と胴体の回転(body pitch運動)による2軸回転運動を巧みに利用することで、安定した飛行を実現しています。安定した飛行が可能である明確な理由は分かっていませんが、蝶のはばたき運動時の流体解析により、解明の手がかりが得られると期待されています。flapping運動もさることながら、body pitch運動無しでは安定した飛行が出来ないため、流体解析においても、body pitch運動を反映することは重要となります。この様な複雑な2軸回転運動を流体計算へ反映することが難しいので、flapping運動とbody pitch運動を同時に反映した、蝶のはばたき運動時の流体解析は行われてきませんでした。しかし、AcuSolveとMotionSolveの連成により可能となります。

 AcuSolveとMotionSolveの連成により、複雑な動作の存在する機構モデルはMotionSolveで作成し、それをAcuSolveによる流体計算で使用することができます。そのため、流体ソフト単体では難しい蝶のはばたき運動時の流体解析が可能となります。計算の際には、各タイムステップごとに、MotionSolveから運動体の変位と回転をAcuSolveへ受け渡します。また、逆に、AcuSolveから流体の流れにより運動体に生じる荷重とモーメントをMotionSolveへ受け渡します。これにより、機構と流体の相互作用を計算することが可能となります。受け渡しの際には、両ソフトウェアのソケット通信連携機能を利用します。移動境界はALE(Arbitrary Lagrangian-Eulerian)法で解きます。一般のALE法を、複雑な運動が存在するケースに適用すると、メッシュが大きく変形するため、計算途中で異常終了する可能性が高いです。しかし、AcuSolveのALE法は改良されており、異常終了することなく計算が可能となっています。

 図1はAcuSolveとMotionSolveの連成による、蝶のはばたき運動時の流体解析の結果の一例です。翅の打ち上げ、打ち下ろし時に翼端周辺に生じる複雑な流れを可視化しています。この解析では、実際の蝶の動作の測定データを基に、MotionSolveで蝶の動作を機構解析モデルで再現し、AcuSolveで流体計算を行っています。解析結果としては、はばたき運動により生じる揚力、推進力、body pitch回転モーメント等、重要な物理量の推移を得ることができます。

 AcuSolveとMotionSolveの連成解析は、上記の蝶のはばたき運動時の流体解析以外にも、自動車走行時のレーンチェンジによる空力特性の変化を見る解析や造波水槽の解析、等へ適用されています。

 ※「蝶のはばたき運動時の流体解析」は東京電機大学・藤川様との共同研究になります。


https://www.terrabyte.co.jp/Hyper/exe-acusolve/acusolve-sample12.htm





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