流れの中の粒子を解く

流れの中の粒子を解く

流れの中の粒子を解く

 ※OpenFOAM:世界中の有志によって開発されたオープンソースCFD(数値流体力学)ソフトウェア。オープンソースLinux同様、GNU General Public Licenseに準拠したフリーソフトで、ユーザはOpenFOAM財団から無料ダウンロードして使用・改変・商利用できる。ドキュメントは未整備。





 OpenFOAM(Open source Field Operation And Manipulation)はその名にある通り、場の変化を観察するオイラー法を用いた流体計算のソルバーがメインの数値解析ソフトです。標準でも様々な手法のソルバーが含まれておりますが、その大半がオイラー法に分類されるソルバーです。しかし、その一部には、粒子の軌跡を追跡するラグランジュ法を用いた粒子計算のソルバーも存在します。

 この流体計算のソルバーと粒子計算のソルバーを組み合わせたカップリングソルバーを紹介します。粒子の計算方法は個別要素法(Distinct Element Method,DEM)と呼ばれている手法で、粒子同士の衝突をバネ-ダッシュポッド-スライダーモデル(図1)で解いています。



 これによって、粒子同士の粘弾性的な剛性と衝突を考慮できるようになり、マーカー粒子や質量粒子では模擬できない粒子の堆積を再現でき、粒子で敷き詰められた層を形成することも可能です。例えば、橋脚における洗掘の様子が再現できます。(図2)



 DEMの欠点は、計算時間がかかることです。粒子数が増えるほど計算量が膨大に増え、計算時間が指数関数的に増加してしまいます。さらに流体とカップリングをして、流体計算も追加すると、非現実的な計算時間になってしまうこともあります。この問題を改善するため、全体的な粒子の挙動は変化しないようにしつつ、複数の粒子の運動を一つの代表粒子で表す工夫を行いました。これにより、粒子数を抑えることができ、計算時間を短縮できます。

 他にも、粒子の密集度に応じた抵抗を流体に与える、粒子を連結させて鎖を模擬する等のカスタマイズも行っています。



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