焼き嵌めによる残留応力を考慮したモータの磁界解析

焼き嵌めによる残留応力を考慮したモータの磁界解析

積層コアを焼き嵌めリングで固定するモータでは、ステータコアの圧縮応力による磁気特性の低下と鉄損の増加が知られています。本事例では、焼き嵌めによる残留応力を考慮したモータの磁界解析を実施し、残留応力の影響を評価します。
構造解析はLS-DYNAで実施します。図 1に解析モデルを示します。解析モデルは焼き嵌めリングとステータコアを1/4対称でモデル化します。部品間に接触条件を設定し、焼き嵌めリングに温度荷重条件として、加熱時から常温に戻るまでの温度差を設定します。

図 2に最小主応力分布を示します。ヨーク部に圧縮応力が一様に発生していることがわかります。dynainファイルをJMAGに読み込み可能なフォーマットに変換し、図 3に示すようにマッピングツールを用いて初期応力条件としてマッピングします。LS-DYNAの解析結果と同様の応力分布になっていることが確認できます。

JMAGで磁界解析を実施します。図 4に残留応力を考慮する場合と考慮しない場合の2ケースにおけるステータコアの鉄損密度分布を示します。2ケースを比較すると、残留応力を考慮したケースでは、圧縮応力が発生しているヨーク部の鉄損密度が大きいことがわかります。表 1にステータコアに発生する鉄損を示します。残留応力を考慮したケースでは、鉄損が約30%増加していることがわかります。

JMAGでは、残留応力を考慮した上で鉄損を精度よく求めることができます。また、マッピングツールを用いることによって外部ソルバーの結果を容易に利用することができます。

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