CAEメールニュース(No.2011-7) 

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┃CAEメールニュース(No.2011-7)                    2011.7.20┃
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Terrabyte Co.,Ltd.
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【1】今月のトピック
╋プラスチック射出成形シミュレーションソフト「Simpoe-Mold/SimpoeWorks」紹介
【2】CAE技術情報
╋プラスチック成形とCAE-その5.熱硬化性樹脂の成形法
╋解析事例更新情報
・技術情報「津波による構造物の強度解析 建屋の水素爆発による破壊解析
流体-構造連成解析」
・構造解析事例「LS-DYNA 樹脂用材料構成則MAT_SAMP-1事例」
・電磁界解析事例 「JMAG 連成解析事例」
【3】CAEセミナー・イベント情報
【4】エッセイ
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└■ プラスチック射出成形シミュレーションソフト「Simpoe-Mold/SimpoeWorks」——-

●Simpoe-Moldはプラスチック射出成形の各工程(充填,保圧,冷却,そり ひけ)をPC上
で解析し、成形品の外観不良や寸法精度不良の発生箇所と程度を予測するコスト
パフォーマンスの良好なスタンドアロン型樹脂流動CAEソフトウェアです。

SolidWorksアドイン版のSimpoeWorksでは、作成したパーツ形状モデルに対して
SolidWorks環境内で樹脂流動解析が行え、SolidWorks設計ワークフロー内でパーツ成形
性の評価を行うことができます。
※2011年10月にはCreo Elements/Pro(旧Pro/E WF5)アドイン版、SolidEdgeアドイン
版をリリース予定です。

設計初期に大まかな流れパターンを把握するだけでなく、金型設計に必要なランナ/冷
却管の配置検討や生産現場での成形条件調整に使用でき、設計者から金型,成形技術者
まで広くお役立ていただけます。

─ Simpoe-Mold/SimpoeWorks 機能限定版 フリーダウンロードサービスのお知らせ ──
フローパターンのみ出力できるSimpoe-Mold/SimpoeWorksの機能限定版を2011年年末まで
ご利用いただけます。
フリーダウンロードお申込み——>http://www.terrabyte.co.jp/Simpoe/dl-2.asp

□特徴&機能———————————————————————–

Simpoeシリーズは、偏肉や複雑形状の成形品に対して、形状近似するSimpoeMeshを用い、
樹脂のフローパターンを精度良く解析できるソフトウェアです。
また、樹脂の流動特性や成形機の多段射出制御を設定、これらの影響を考慮した解析結果
を出力します。

●特徴
・オートメッシュ,メッシュサイズ調整機能(パーツ毎にメッシュサイズ変更可)
・スキン層とコア層の流れを正確に評価するハイブリッドメッシュ搭載
・自由度の高いモデル化
・樹脂データベースライブラリ:6,000種類の樹脂を内包。登録可能
・射出成形機データベースライブラリ:2,000種類のマシン仕様を内包。登録可能
・ランナーバランスの最適化機能搭載(充填時間、圧力考慮)
・ホットランナーの設定が可能(バルブゲート考慮可)
・ウェルドラインの会合角表示
・繊維配向の配向性考慮
・そり変形の基準面設定機能
・指定箇所の解析結果、グラフ表示機能
・インサート成形のインサートパーツの変形評価
・逆そり形状の形状データ出力(STLデータ)
・自動レポート作成機能(PowerPoint,Word,InternetExplorer対応)

●解析機能
・充填解析
┗フローパターン評価
ショートショット、ウェルドライン/エアトラップの発生位置予測
ランナーバランス、ゲートの検討(配置,数,形状等)
・保圧解析
┗キャビティ内の収縮や保圧工程時の残留応力を評価
保圧時の固化率や成形機からの内圧を考慮
・冷却解析
┗冷却管(温調器)による金型温度分布を評価
バブラー、バッフルによる吸熱考慮
熱流束による吸熱効果を評価
冷却管配置の検討
・そり変形解析
┗熱応力、残留応力、樹脂特性を考慮して離型後の変位量を予測
収縮によるひけの発生を予測
リブ追加の検討

続き——>詳細はホームページからご確認ください。
http://www.terrabyte.co.jp/Simpoe/simpoe_1.htm

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└■ CAE技術情報 「プラスチック成形とCAE-その5.熱硬化性樹脂の成形法」———–

今回は熱硬化性樹脂の成形法について解説します。
熱硬化性樹脂の成形法を並べてみますと、最初から異種部材との組み合わせが前提になっ
ているものが多いようです。異種部材とはガラスファイバー、カーボンファイバー、シリ
カなどの充填材の場合もありますし、金属やLSIチップ、セラミック、樹脂基板など非常
に多くの材料が対象になります。これは熱硬化性樹脂が色々な部材との接着性に優れ、一
旦硬化すると溶融しませんので、厳しい使用環境に耐えるという特性のためと考えられま
す。
ファイバーなどの補強繊維や補強部材を敷き詰めておき、樹脂を含浸させる手法は、手
動から自動化の方向へ向けて「ハンドレイアップ法」、「スプレーレイアップ法」、
「RIM(Resin Infusion Molding)成形法」となります。これらは主材と硬化剤からなる2液
性の樹脂を含浸させ、所定の温度で硬化させて、補強部材と一体になった製品を得る方法
です。これにより補強繊維の剛性と樹脂の靱性を生かした理想的な製品が生み出されます。
これから発展した成形法がSMC(Sheet Molding Compound)になると思います。これは、ま
ず、主剤、硬化剤、添化材、内部離型剤などをあらかじめ混合した樹脂ペーストを補強繊
維に含浸させたSMCシートを作ります。これを裁断して金型に投入し、加熱・硬化して成
形品を得る方法です。この方法でユニットバスなどが作られています。この分野はシート
の作り方など成形材料ベンダのノウハウの寄与が多いようです。
SMCの長繊維補強効果をやや犠牲にして高能率成形が可能な形にしたのが
BMC(Bulk Molding Compound)成形になります。これは短繊維補強材と樹脂を混練して塊状
やペレット状にした材料となり、射出成形やトランスファー成形も可能となります(熱可
塑性樹脂にも短繊維を補強する場合がありますが、やはり同じように混練したペレットを
射出成形機のホッパーに投入します)。トランスファー成形は移送成形とも呼ばれ、樹脂
材料を金型中央のポットに投入して加熱・可塑化後、プランジャでランナー、ゲートを通
して金型キャビティ内に圧送して硬化させる方法です。これは射出成形と同様に、型締め
された金型に樹脂を注入して成形するので、成形品の寸法精度がよく、インサート部品の
保持が確実に行えることから、現在では半導体パッケージの標準的な成形法にもなってい
ます。射出成形の場合は成形機のノズルという非常に狭い流路があり、樹脂がここで硬化
により流路を塞いでしまうと生産中止という事態に陥りますが、トランスファー成形では
そのような箇所はなく、熱硬化性樹脂の高能率成形に適した方法といえます。
その他にはポリウレタン樹脂を対象としてミキシングヘッドで2液を衝突混合させて反
応を生じさせると同時に化学発泡させてウレタンフォームを作る
RIM(Reaction Injection Molding)成形法などがあります。
次号からしばらくプラスチック材料の取扱いの基礎であるレオロジーとその測定法につ
いて解説したいと思います。

●関連情報
・熱硬化性樹脂流動解析ソフト「NEPTAS」
http://www.terrabyte.co.jp/NEPTAS/neptas-1.htm
・熱硬化性樹脂流動解析事例
http://www.terrabyte.co.jp/example/analysis_sample-res.htm

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└■ 解析事例更新情報————————————————————-

●技術情報
「津波による構造物の強度解析 建屋の水素爆発による破壊解析 流体-構造連成解析」
・美浜原子力発電所への津波の遡上解析 (FLOW-3Dを用いた津波解析)
・福島第一原発の解析(FLOW-3Dを用いた津波解析とLS-DYNAによる建屋衝撃応答解析)
・フラップゲートのシミュレーション(FLOW-3Dを用いた津波解析)
・津波による建屋の破壊解析(LS-DYNA)
・原子炉建屋の水素爆発解析(LS-DYNA)
http://www.terrabyte.co.jp/example/technical-info.htm#3

●構造解析事例
「LS-DYNA 樹脂用材料構成則MAT_SAMP-1事例」
・損傷特性の考慮
・塑性ポアソン比の検証
・リブの破壊解析
http://www.terrabyte.co.jp/example/analysis_sample-str.htm#m1

●電磁界解析事例
「JMAG 連成解析事例」
・小刀の焼き入れ
http://www.terrabyte.co.jp/example/exe-jmag/jmag-sample12.htm

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└■ CAEセミナー・イベント情報—————————————————-

当社では解析ソフトをより有効にご活用いただくことを目的とし、各種セミナーを開催い
たしております。各ソフトの操作性や機能をご確認いただく場として、お気軽にお申し込
みください。

□ TECHNO-FRONTIER 2011 出展
会期:7月20日(水)~7月22日(金)
会場:東京ビックサイト
テラバイト出展ブース:No.2J-106
出展商品・設計者向け熱流体解析ツール「FloEFD」
・樹脂流動解析ソフト「Simpoe-Mold」
・電磁界解析ソフト「JMAG」

□ 非線形構造解析ソフト「LS-DYNA」技術セミナー
「塑性加工技術セミナー 初級編」(7/28 東京)
「衝撃解析とゴム材料」(8/25 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/lsdyna/LS-DYNA_seminar1.htm

□ 統合CAEツール「HyperWorks」最適化セミナー (7/29・8/30 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/Hyper/HyperWorks-seminar.htm

□ LS-DYNAプリポストプロセッサ「Jvision」操作セミナー (8/2 東京)
※Jvision/LS-DYNAユーザ様対象のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/Jvision/Jvision_semi.htm

□ 電磁界解析ソフト「IES 電磁界ソフトウェア」 無料体験セミナー (8/3 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/IES/IES-seminar1.htm

□ 熱硬化性樹脂流動解析ソフト「NEPTAS」紹介セミナー (8/9 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/NEPTAS/semi.htm

□ 設計者のための熱流体解析ソフト「FloEFDシリーズ」
紹介セミナー&無料体験ワークショップ (8/11 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/FloEFD/EFD-seminar1.htm

□ ハイエンド自由表面解析ソフトウェア「FLOW-3D」紹介セミナー (8/18 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/FLOW-3D/flow3d-seminar1.htm

□ 「基礎構造講座」
・「構造力学の基礎」(8/23・24 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/seminar/strcture_semi.htm

□ 鋳造/湯流れ凝固解析ソフト「FLOW-3D CAST」紹介セミナー (8/26 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/FLOW-3DCast/flow3dCast-seminar1.htm

□ 非線形構造解析ソフト「LS-DYNA」操作セミナー (8/31 東京)
※LS-DYNAユーザ様対象のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/lsdyna/LS-DYNA_seminarN.htm

□ LS-DYNA用プリポスト「eta/VPG」紹介セミナー&体験解析ワークショップ(9/14 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/VPG/VPG-seminar1.htm

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└■ エッセイ「企業価値評価って?」———————————————–

企業の価値を判断するモノサシの一つに「企業価値評価」という耳にする事があるかと思
います。コーポレートファイナンスやM&A用語で、英語では”Valuation”です。対象企業の
「事業価値」を評価して金額に置き換えることです。
評価方法は大きく分けて、”コスト・アプローチ”、”インカム・アプローチ”、”マーケット
・アプローチ”にわけられます。
各々メソッドがありコスト・アプローチを例に挙げると「時価純資産価額法」があります。
会社が保有している資産の時価から、負債を控除した額をもって企業価値とする事ですが、
web等にも情報がありますのでご興味があればチェックしてみてください。ここではファ
イナンスの話はしません。
企業価値評価は、数値に置き換える事により様々な客観的な判断材料になります。ただ、
数値にあらわれない(現れにくい)企業活動もあります。地域の清掃活動に始まり節電対
策もその一例だと思います。例えば、本CAEメールニュースもその部類にはいるかと思い
ます。CAEメールニュースを受け取った方々にとって本当に必要な情報を提供できている
か?見栄えだけではなく、内容も充実しているか?画一的になってないか?数値にあらわ
れない(現れにくい)企業活動に対しても、まだまだ出来る可能性があると感じます。
「どこも一緒だ!」と思っているところにチャンスは転がっている。
CAEを通じて世界競争力のある日本のモノづくりの一助になれるべく、今後も色々なサー
ビスを提供させていただきます。
M.Hasegawa
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└■ 購読者アンケート ————————————————————

購読者様へCAEメールニュースについてのアンケートお願いしております。
ぜひご協力ください。

http://www.terrabyte.co.jp/example/mailnews/mailnews_anq.htm

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━━━<編集後記>━━━━━━━━━━………………‥‥‥‥・・・・・・ ・ ・ ・
毎年のこととは言え、夏バテ気味の今日この頃です。なんとか安眠を考え眠る前は無理せず
多少でもクーラーを入れてみたり、温めのお風呂に浸かってみたり、はたまたサプリなど試
してみたりと色々こころみているのですが、なんともはやです。ともかく体調管理には気を
遣いつつ、なんとかこの夏も乗り切りたいと思います。
E.Ikeda
・ ・ ・ ・ ・・・・・・‥‥‥‥………………━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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☆ 発行:(株)テラバイト 東京都文京区湯島3-10-7 NOVビル5F 編集担当:池田 絵美
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