CAEメールニュース(No.2017-12)

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┃CAEメールニュース(No.2017-12)                   2017.12.20┃
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Terrabyte Co.,Ltd.
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【1】今月のトピック
╋テラバイト技術通信 1「熱/光硬化性樹脂の反応速度式モデル」
╋テラバイト技術通信 2「自由表面解析を伴う凝固・融解解析OpenFOAM
アプリケーションのご案内」
【2】CAE技術情報
╋CAEソフトウェアを使いこなそう 第12回 最適化計算の構築
~改行コードに気をつけよう~
【3】CAEセミナー・イベント情報
【4】エッセイ
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└■ テラバイト技術通信 1「熱/光硬化性樹脂の反応速度式モデル」——————-

熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂は、低分子量で主に液状の化合物から成っています。
熱や光の作用による化学反応や硬化剤などの化合物との反応によって、分子間の結合によ
り分子量が増大します。ある程度分子量が大きくなると分子構造に枝分かれが生じ、網状
の高次構造を形成し、流動性を失った状態となり、これをゲル化と言います。
流動挙動には、ゲル化までの粘度特性の変化が大きく影響します。
熱硬化性樹脂/光硬化性樹脂では、上記の化学反応を反応率の関数として記述するのが一
般的で、初期の反応率は0で反応終了時に1となる無次元数で表します。
反応率は生物の個体数の時間変化などで見られる飽和値を持つ増加曲線と類似した特性に
なります。
(注:ゲル化は、反応率=1以下で生じます。)
CAEでは、この化学反応をKamalモデルと言う反応速度モデルで表し、この反応率による粘
度変化を表すMacosocoモデルなどを粘度モデル式に組み込んで熱硬化性/光硬化性樹脂の
粘度特性を表現しています。

熱硬化性樹脂の中には、反応速度の異なる複数の主剤や硬化剤を組合せて混練した樹脂も
存在します。
この場合、複数の反応速度プロファイルを合成した形になりますので、単独の反応速度式
では全体をカバーしきれません。その為、複数の反応速度式を組み合わせればいいのです
が、反応がオーバーラップする箇所の影響を考慮しながら、反応率が滑らかに1に収束す
る様に反応速度と反応率の変化を調整する必要があります。
また、最初から実現象に合うように反応速度式の形を自由に作れるようにした、
Model-Free Kineticsとよばれる手法があり、これを用いる事で反応率依存項を1つのモデ
ル式で表現する事も可能です。
テラバイトでは、様々な反応速度形態にも対応した、最適なモデル化やパラメータ設定等
のカスタマイズを実施して汎用熱・流体ソフトへの組み込みを行っております。
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└■ テラバイト技術通信 2 ——————————————————
「自由表面解析を伴う凝固・融解解析OpenFOAMアプリケーションのご案内」

OpenFOAMアプリケーションの一つである自由表面解析ソルバーinterFoamに濃度場と温度
場の解析機能を追加したことを7月のCAEメールニュースでご案内しました。このソルバー
を用いることによって自由表面解析と同時に温度場の解析が可能になっております。
また、濃度場も同時に解析すれば、流入口が異なる流体の流れを追跡することなどが可能
になります。当社ではさらに、このソルバーを発展させ、エンタルピー法を用いた凝固・
融解解析機能を追加しました。

凝固・融解解析機能では液体と固体の相変化を取り扱うことができます。例えば、以下は
水が相変化して凍る様子を示すアニメーションです。

http://www.terrabyte.co.jp/OpenFOAM/openfoam_2.htm?cae

この解析では自然対流が発生するため、水の体積膨張率を温度に依存した形で考慮する必
要があります。本ソルバーではこの設定を自動に行えるようにし使いやすいものにしてお
ります。
また、鋳造や溶接の解析では同時に自由表面解析が必要となりますが、本ソルバーではこ
のような解析も可能です。

当社HPもご覧になり、よりご理解を深めて頂ければ幸いです。
http://www.terrabyte.co.jp/OpenFOAM/openfoam_2.htm?cae

当社へのお問合せ―>http://www.terrabyte.co.jp/contact/contact.htm?cae

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└■ CAEソフトウェアを使いこなそう 第12回 最適化計算の構築
~改行コードに気をつけよう~

最適化計算では、最適化ソフトウェアはWindowsマシンで、サンプリングのための計算
はLinuxマシン上でというように、異なるOSを混在させて計算することがよくあります。
前回までは様々な計算機環境を想定した最適化計算の設定例をご紹介してきました。
皆さんはこの例を参考にして最適化計算を実行していただくことになることでしょう。
そこで、いざ最適化計算を実行するために「実行」ボタンをクリックするとなぜかエラー
に。バッチファイルやシェルスクリプトは完璧なはず。最適化ソフトやソルバーの入力
データも誤りはないはずなのに...。その場合によくあるのが、WindowsとLinuxの改行
コードの違いが原因のエラーです。どういうことかというと、Linuxで実行するための
シェルスクリプトをWindowsのテキストエディターで作成し、これをLinuxマシンに転送し
て実行しようとするような場合に発生します。Linuxのodコマンドを以下のように打ち込
むとWindowsで作成したシェルスクリプト(例えばファイル名をscript.shとします)の内
容が画面上に表示されます。

$ od -c script.sh

すると、例えば以下のように表示される場合があります。

$ od -c script.sh
0000000 # ! / b i n / b a s h \r \n \r \n J
0000020 N S = $ 1 \r \n J O B N A M E = $
0000040 2 \r \n I N P U T = $ 3 \r \n Q U E
0000060 U E = $ 4 \r \n N O D E = $ 5 \r \n
0000100 P P N = $ 6 \r \n C H E C K _ I N

この中で”\r\n”と表示されている部分はWindowsのテキストの改行コードで、
LFCR(ラインフィード+キャリッジリターン)を意味しています。これに対し、Linuxの
テキスト改行コードは”\n”、すなわちCR(キャリッジリターン)となります。そのため
WindowsのテキストファイルはLinux上では正しく認識(改行)されなくなり、これが
エラーの原因となるのです。このエラーを避けるためには、まずodコマンドでテキスト
ファイルの改行コードを確認します。もし”\r\n”と表示される場合はLinuxの改行コー
ドに変換する必要があります。それには以下のコマンドを使用します。

$ tr -d “\r” < script.sh > tmpfile
$ mv tmpfile script.sh ; chmod 755 script.sh

これはファイルscript.sh内のWindows改行コードをLinux改行コードに変換するための操
作です。1行目はtrコマンドに-dオプションをつけてscript.sh内の\rというメタ文字を消
去し、tmpfileという一時ファイルに書き出します。2行目でmvコマンドにより、tmpfile
を元のscript.shという名前にリネームし、chmodコマンドで実行権限を与えます。こうし
て改行コードを変換したファイルを再度odコマンドで表示してみると、

$ od -c script.sh
0000000 # ! / b i n / b a s h \n \n J N S
0000020 = $ 1 \n J O B N A M E = $ 2 \n I
0000040 N P U T = $ 3 \n Q U E U E = $ 4
0000060 \n N O D E = $ 5 \n P P N = $ 6 \n
0000100 C H E C K _ I N T E R V A L = $

となり、改行コードがLinuxの改行コードに置き換わっていることがわかります。こうす
ることでシェルスクリプトがLinux上で正しく認識され、最適化計算が正常に実行される
ようになります。

今回でこのシリーズは終了です。1年間ありがとうございました。
(S.T.)
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└■ CAEセミナー・イベント情報—————————————————-

当社では解析ソフトをより有効にご活用いただくことを目的とし、各種セミナーを開催い
たしております。各ソフトの操作性や機能をご確認いただく場として、お気軽にお申し込
みください。

□ 設計者のための熱流体解析ソフト「FloEFDシリーズ」
紹介セミナー&無料体験ワークショップ (1/11 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/FloEFD/EFD-seminar1.htm?cae

□ 筋骨格モデリングシミュレーション「AnyBody」 紹介セミナー (1/12・2/9 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/AnyBody/anybody_semi.htm?cae

□ 「基礎構造講座」-衝撃工学の基礎-(1/16・17 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/seminar/strcture_semi.htm?cae

□ 汎用熱流体解析ソフトウェア「AcuSolve」 紹介セミナー (1/19 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/Hyper/AcuSolve_seminar.htm?cae

□ ブロー成形・樹脂シート熱成形プロセス解析ソフトウェア
「BlowView」/「FormView」紹介セミナー (1/23 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/BlowView/seminar1.htm?cae

□ 筋骨格モデリングシミュレーション「AnyBody」 基礎トレーニングセミナー
(1/24 東京) ※Anybodyの学生ユーザ様限定のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/AnyBody/anybody_semiN.htm

□ 非線形構造解析ソフト「LS-DYNA」技術セミナー
「塑性加工技術セミナー 初級編」(1/25 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/lsdyna/LS-DYNA_seminar1.htm?cae

□ LS-DYNAプリポストプロセッサ「Jvision」操作セミナー (2/6 東京)
※当社のLS-DYNA/JVISION保守ユーザ様限定のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/Jvision/Jvision_semi.htm?cae

□ 電磁界解析ソフト「INTEGRATED 電磁界ソフトウェア」無料体験セミナー (2/7 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/IES/IES-seminar1.htm?cae

□ 非線形構造解析ソフト「LS-DYNA」操作セミナー (2/8 東京)
※当社のLS-DYNA保守ユーザ様限定のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/lsdyna/LS-DYNA_seminarN.htm?cae

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└■ エッセイ「特大の流れ星」—————————————————–

このところ、朝晩特に冷え込みいよいよ冬本番といった気配になって参りました。
とはいえ、寒い代わりに星空が綺麗に見えるのがせめてもの救いだと感じます。
先日もふたご座流星群のピークがちょうど月明かりの少ない日と重なり1時間で5個もの流
れ星を拝む事ができ、とてもラッキーな気分になりました。
普段空を見上げる機会も少ないのですが、このくらい多くの流れ星を見ることができるな
らば寒い夜空を見上げるのも悪くありません。
そんな事を同僚と話していたところ、彼は先日の宮崎での研修旅行で長い人生の中で最大
級の流れ星を見たと逆に自慢されてしまいました。一体どんな流れ星だったんでしょう
ヽ(゜Д゜;)ノ!
まだまだ寒い日が続きますが、皆様もぜひ星空を見上げてみていただければと思います。
その際は、ばっちり防寒をお忘れなく。
T.Kadoguchi
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└■ 購読者アンケート ————————————————————

購読者様へCAEメールニュースについてのアンケートをお願いしております。
ぜひご協力ください。

http://www.terrabyte.co.jp/example/mailnews/mailnews_sformmail.php

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━━━<編集後記>━━━━━━━━━━………………‥‥‥‥・・・・・・ ・ ・ ・ ・
師走の寒さもようやく本番、風邪が流行っているようです。これから年末を迎えるので、
十分注意しましょう!
今年も1年間お付き合いいただきました皆様、ありがとうございます。来年もよろしくお願い
いたします。少し早いですが、良いお年を。
E.Ikeda
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☆ 発行:(株)テラバイト 東京都文京区湯島3-10-7 NOVビル5F 編集担当:池田 絵美
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