CAEメールニュース(No.2018-1) 

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┃CAEメールニュース(No.2018-1)                    2018.1.22┃
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Terrabyte Co.,Ltd.
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【1】今月のトピック
╋テラバイト技術通信 1「CAE解析業務の基礎講座[1]
~はじめて解析を担当する方へ~」
╋テラバイト技術通信 2「AnyBody Modeling System筋骨格解析の筋力推定について」
【2】CAE技術情報
╋CAE解析のトピック Q&A 1
【3】CAEセミナー・イベント情報
【4】エッセイ
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└■ テラバイト技術通信 1「CAE解析業務の基礎講座[1]
~はじめて解析を担当する方へ~」
第1回 フォルダの管理方法
今回の技術通信では、はじめてCAE解析を担当する方々に、計算フォルダを管理する方法
をご案内いたします。計算フォルダを上手く管理する事で、作業時間の効率化を図れます。
解析業務は、プリプロセス(モデル作成)、ソルバー実行(計算実行)、ポストプロセス(結
果確認)に分けられますが、これらの作業に時間を要するのはやむを得ないところもあり
ます。しかし、案外問題視されずおざなりに扱われがちな問題が、計算フォルダの管理で
す。
例えば、過去に実施した計算モデルを”探す”作業を考えてみます。
案件によっては、条件変更した計算を数十ケース、数百ケース実行する事もあります。
また数ヶ月前、数年前に実施した業務の追加計算を行う場合も出てきます。
計算フォルダの管理が出来ていないと、特定の条件で計算したモデルや納品したモデルを
探す際に、無視できない工数を割く事になってしまいます。
解析業務とは関係のないこの無駄な工数を削減するためには、計算フォルダを如何に管理
するかがポイントになります。
業務内容や会社の運用方針次第で適切な方法は異なりますが、以下に、管理方法案を示し
ます。これらの事を実施するだけで、大幅に工数を削減する事ができます。

1. 条件変更した計算ごとにフォルダを分ける
(同一フォルダ内で条件変更した計算は複数回行わない)
2. 計算フォルダやプロジェクトの名前を、後で見ても分かる様に、統一したルールを
作る
3. エクセル等で、フォルダの置き場所、条件、結果等を一覧にしてまとめておく

まだ計算フォルダの管理方法を確立されていない方は、これを機会に、管理方法を考えて
みてはいかがでしょうか?

テラバイトコンサルティングサービス―>
http://www.terrabyte.co.jp/service/cae-consul.htm?cae
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└■ テラバイト技術通信 2 ——————————————————
「AnyBody Modeling System筋骨格解析の筋力推定について」

AnyBody Modeling Systemは、人間の筋骨格をモデリングした人体モデルを用いて筋肉が
発揮する力(筋張力)を推定し、関節にかかる力やトルクの算出を行うソフトです。

筋力推定には逆動力学という計算手法が使用されています。逆動力学とは、観測しうる、
関節角度・角速度・角加速度および環境条件から、必要な筋力を計算する方法です。これ
は筋力(筋トルク)によって、生じる動き(角度・角速度・角加速度)を推定する順動力学の
反対の方法です。
AnyBodyの人体モデルは骨を表す剛体、剛体同士が点でリンクすることによって位置関係
を拘束する関節、力要素としての筋肉、の3つの要素から構成されています。
この人体モデルの関節に対して角度・角速度・角加速度と外的条件(環境から受ける力な
ど)を定義することで、人間の動作を作成し、動作を行うために必要となる筋力を推定し、
それに伴う関節トルク・関節反力など算出します。
筋力はてこの原理によるトルクのつり合いによって解かれます。一つの関節動作に対して
対応する筋肉が一つであれば、解は一つに収束し簡単に求めることができます。
しかし、実際の人体がそうであるように、AnyBodyの人体モデルも一つの関節動作に対して、
複数の筋肉が力の発揮に関与します(これを筋動員といいます)。
この場合、必要なトルクを発生させる筋力の組み合わせは無数に存在する(いわゆる「冗
長系」として存在する)ため、一意の解を決定することができません。
そこで解を決めるために使用されるのが筋分配のための最適化計算です。
AnyBodyにおいてその目的関数Gは
G=Σi(fi/Ni)p
fi・・・ある時刻での個々の筋 iの発揮筋力
Ni・・・個々の筋 iのもつ最大筋力
p・・・通常、2~3
という式で定義されています。
Fi/Niは個々の筋肉が最大発揮できる筋力のうち、どの程度の力を発揮したかの割合を示
す筋活動量(Activity)を表します。これら全筋の筋活動のべき乗の総和がGです。
この目的関数Gが最小になる筋力の分配、つまり、全身の筋肉における個々の活動の合計
が最も小さくなるパターンを、人体負担が最も少ない筋発揮状態とみなし、そのように生
体(人体)は反応するものとして筋力を算出しています(筋疲労の最小基準)。
このような計算手法でAnyBodyでは動作から、筋力の推定を行います。この目的関数によ
る筋肉の筋力の発揮パターンは、実測EMG(筋電図)と同じ傾向を示すことが知られてい
ます。EMGの使用は、・表層の筋のみで対象ある、・単一の筋のみの活動を正確に検出す
るのは困難、・体調などに左右される、などいくつか使用条件に制約がありますが
、AnyBodyであれば、深層筋含む全身の筋について、筋活動を観察できるようになります。
もし、AnyBodyによる解析に興味がありましたら、当社が開催している紹介セミナーにご
参加ください。

AnyBody紹介セミナー ―>
http://www.terrabyte.co.jp/Hyper/AcuSolve_seminar.htm?cae
AnyBody詳細 ―>
http://www.terrabyte.co.jp/AnyBody/anybody_1.htm?cae

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└■ CAE解析のトピック Q&A 1 —————————————————-

<Question>
衝撃解析や動的解析は静的な構造解析とどのように違うのですか?

<Answer>
それぞれの解析で「構造物に力が加わったときに発生する応力や変形」を求めることに
ついて考えてみましょう。静的構造解析では、作用する力が構造の剛性と釣り合う定常状
態を解析対象とし、力が加わる過程の動的・過渡的な挙動は問題にしません。これに対し、
衝撃解析や動的解析では、構造物の慣性や減衰特性も考慮し、力が加わる過程の挙動を解
析対象とします。外力が一定の場合は、時間が経過すると減衰などにより運動が失われ、
動的挙動は静的な定常状態に落ち着きます。一方、外力が時間とともに変化する場合は、
強制振動が生じ、静的な場合と区別されます。
静的解析の結果は、構造物に働く応力や変形は時間に依らず一定となりますが、衝撃解
析や動的解析で得られる応力や変形は時間とともに変動し、静的解析の結果とは大きく異
なります。
例えば、静的解析結果では大きな引張応力が発生している箇所でも、衝撃解析では圧縮応
力状態になったり引張応力状態になったりと変動し、一時的に静的応力値の何倍もの大き
な応力が発生したりします。衝撃解析でこのような現象を捉えられるのは、構造材料中を
伝播する応力波に着目した解析手法を採用しているからです。したがって、静的解析結果
を基にして、動的荷重に対応した設計安全率を推定するにはよほどの注意が必要に
なります。
この他、衝撃解析には、静的解析では考慮できない材料固有の動的特性も影響します。
この特性は、一般的にひずみ速度依存性や粘弾性効果と呼ばれています。材料は速い現象
に対してより強い抵抗を示します。材料の引張試験において、ゆっくり引張る場合に対し、
速く引張る場合では計測される荷重値が1.5倍以上になることもあります。静的解析では
それほどでもない構造の反力も、衝撃解析では思いもよらない大きな反力が発生すること
があります。また、延性材料では、衝撃荷重を受けると脆性的となり、破壊の様子が変化
します。衝撃解析ではこのような材料特性を考慮して解析を実行する必要があります。

※1999年4月号に掲載された記事に加筆、修正を加えております。

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└■ CAEセミナー・イベント情報—————————————————-

当社では解析ソフトをより有効にご活用いただくことを目的とし、各種セミナーを開催い
たしております。各ソフトの操作性や機能をご確認いただく場として、お気軽にお申し込
みください。

□ LS-DYNAプリポストプロセッサ「Jvision」操作セミナー (2/6 東京)
※当社のLS-DYNA/JVISION保守ユーザ様限定のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/Jvision/Jvision_semi.htm?cae

□ 電磁界解析ソフト「INTEGRATED 電磁界ソフトウェア」無料体験セミナー (2/7 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/IES/IES-seminar1.htm?cae

□ 非線形構造解析ソフト「LS-DYNA」操作セミナー (2/8 東京)
※当社のLS-DYNA保守ユーザ様限定のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/lsdyna/LS-DYNA_seminarN.htm?cae

□ 設計者のための熱流体解析ソフト「FloEFDシリーズ」
紹介セミナー&無料体験ワークショップ (2/8 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/FloEFD/EFD-seminar1.htm?cae

□ 筋骨格モデリングシミュレーション「AnyBody」 紹介セミナー (2/9・3/9 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/AnyBody/anybody_semi.htm?cae

□ 汎用熱流体解析ソフトウェア「AcuSolve」 紹介セミナー (2/16 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/Hyper/AcuSolve_seminar.htm?cae

□ ブロー成形・樹脂シート熱成形プロセス解析ソフトウェア
「BlowView」/「FormView」紹介セミナー (2/20 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/BlowView/seminar1.htm?cae

□ 非線形構造解析ソフト「LS-DYNA」技術セミナー
「衝撃解析とゴム材料」(2/22 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/lsdyna/LS-DYNA_seminar1.htm?cae

□ 「基礎構造講座」-衝撃工学の基礎-(4/17・18 東京)
http://www.terrabyte.co.jp/seminar/strcture_semi.htm?cae

□ 筋骨格モデリングシミュレーション「AnyBody」 基礎トレーニングセミナー
(4/25 東京) ※Anybodyの学生ユーザ様限定のセミナーです。
http://www.terrabyte.co.jp/AnyBody/anybody_semiN.htm?cae

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└■ エッセイ「情報」————————————————————-

私は分からないことがあると徹底して調べるタイプなのですが、若かりし頃は調べる資料
としては本か人しかなく、どんなに探しても私が論文やレポート作成で調べるような対象
の資料は図書館や本屋、先輩や教授を訪ね10時間か多くても20時間あれば集められました。
(読み解く時間は別)
ところが今はネット上に溢れかえるほどの情報があり、言語も多岐にわたり、正しい情報
と間違った情報の取捨選択も難しくなっています。
どこかできりをつける必要がありますが、見切りが難しいと日々感じております。
ただちょっと疑問に思ったことを手元の端末ですぐに調べられるのは本当に便利だと思っ
ていますが、果たして脳トレ的には良いのか悪いのかが少し不安です。さて、このような
膨大な情報を活用する動きの一つとしてビッグデータがあります。調査する側としては溢
れかえるデータを集約し統計的に処理し参考にする良い方法の一つかとは思います。
ただ一般人としては怖さを感じることもあります。
例えば身近なところではSNSで「友達ですか?」に出てくる情報がどこから見つけてきた
のか分からないのに正確な情報だったり、自分が興味のある情報が検索の上部に出てくる
ことは皆さんも経験しているかと思います。
ビッグデータになるのか、ビッグデータの一部なのか微妙ですが、私が感じた一例を書い
てみます。
もう数年前になりますが、私は方向音痴なので出張時はお客様の住所や宿泊先のホテルを
地図アプリ上で事前にマークしておくのですが、ある時地図アプリを見直したところ、ホ
テルの情報に「あなたはここに〇月〇日予約をしています。」との情報がありました。
なぜ地図アプリがそれを知っているのかドキッとしましたが、よく考えてみるとそのホテ
ルを宿泊予約サイトで予約した際に確認メールをその地図アプリと同じ会社のメールアカ
ウントで受け取っていたことが思い当たりました。つまりその会社のシステムは私のメー
ルの内容を読み、地図アプリに反映をしていたのです。
誰か人がメールを見ている訳ではありませんが、そのシステムはメールの内容を判別し活
用することができるのです。
これを怖いと思うか、便利と思うかは人によるかと思います。
ただ、いつの時代もツールやシステム、情報に使われないように、逆にうまく活用したい
ものだと感じました。
T.H
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└■ 購読者アンケート ————————————————————

購読者様へCAEメールニュースについてのアンケートをお願いしております。
ぜひご協力ください。

http://www.terrabyte.co.jp/example/mailnews/mailnews_sformmail.php

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━━━<編集後記>━━━━━━━━━━………………‥‥‥‥・・・・・・ ・ ・ ・ ・
今年から技術情報のコーナーは新たなテーマでお届けします。多少なりと参考になりました
ら、幸いです。今年もCAEメールニュースをよろしくお願いいたします。
E.Ikeda
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☆ 発行:(株)テラバイト 東京都文京区湯島3-10-7 NOVビル5F 編集担当:池田 絵美
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