1. キャビテーション解析の概要
オープンソースの数値計算ソフトウェア「OpenFOAM」を利用して、回転するプロペラ周りの流れ解析をおこないました。計算に使用したソルバーは、相変化が考慮できるinterPhaseChangeDyMFoamで、VOF法をベースに、キャビテーションの発生状況を再現することができます。ただし、等温で不混和流体(=非混合)限定になります。
図1に解析モデルの概要を示します。円筒状の計算領域内にプロペラを配置し、キャビテーションの発生状況とキャビテーション数を調査しました。

図1. モデル概要
2. OpenFOAMの計算条件
プロペラの回転は、AMI(Arbitrary Mesh Interface)機能でプロペラ周囲のメッシュのみ回転させました。流入と流出境界は圧力固定で、外側の円筒壁面はnon-slipの壁境界(速度0)としました。図2に境界条件を示します。

図2 境界条件
表1に計算で使用した物性値を、図3にプロペラの回転速度を示します。
表1. 物性値


図3. プロペラの回転速度
3. interPhaseChangeDyMFoamソルバーの計算結果
流線とキャビテーション発生状況のアニメーションを示します。
流線のアニメーション
キャビテーションのアニメーション
4. まとめ
・ プロペラの回転速度が速くなるにつれて、キャビテーションの発生領域が大きくなることが確認できました。
・ 0.07秒付近からキャビテーションが発生していました。この時点では、プロペラの回転速度は約147[rad/s]であり、プロペラ周囲で8[m/s]程度の流速が見られました。このときのキャビテーション数は3.07です。
・ 0.3秒でプロペラの回転速度は628.32[rad/s]に達し、プロペラ周囲で21[m/s]程度の流速が見られました。このときのキャビテーション数は0.45です。