RANSモデルを用いたT字管路内の乱流解析

RANSモデルを用いたT字管路内の乱流解析

検証概要

プラントで多く用いられるT字管路内の乱流解析を行いました。図1に解析モデルを示します。

円形断面のT字管路には,流入口1(D1=100mm)から高温流体が流入(Q1)し,流入口2(D2=140mm)から低温の流体が流入(Q2)します。合流部から下流では,高温流体と低温流体の混合が乱流により促進されます。

本解析では,4つのRANS系乱流モデルを用いて解析を行いました。

図1 解析モデル

解析条件

この検証ではソルバーとしてbuoyantSimpleFoamを用いています。使用した乱流モデルを以下に示します。流入条件を表1に示します。

  • 標準k-eモデル
  • RNG k-eモデル
  • Realizable k-eモデル
  • SST k-wモデル

           表1 流入条件

流入口1 流入口2
レイノルズ数 107000 79400
流量 6 Litters/s (Q1) 9 Litters/s (Q2)
流速分布 実験値 実験値
温度 36℃ 19℃
乱流エネルギー 実験値 実験値

 

 

解析結果

流線

図2に,標準k-eモデルでの流線を示します。合流部ではく離が生じ,合流部の下流側の円管上部に循環領域が発生しています。

図2 流線

流速分布

図3に,標準k-eモデルを用いた場合のx-z中心断面(y=0)での流速分布を示します。

図3 流速分布

温度分布

図4に,標準k-eモデルを用いた場合のx-z中心断面(y=0)の温度分布を示します。

図4 温度分布

乱流エネルギー分布

図5に,標準k-eモデルを用いた場合のx-z中心断面(y=0)の乱流エネルギー分布を示します。

図5 乱流エネルギー分布

実験結果との比較

実験値との比較点

図6に,実験結果[1]との比較を行うサンプリング点列を示します。

図6 実験値との比較点

 

x-z中心断面のx方向速度分布

x-z中心(y=0)断面でのx方向速度分布を図7に示します。合流部から下流に向かって実験値とのずれが大きくなっています。比較した乱流モデルの中では,標準k-eモデルが最も誤差が小さくなっています。

図7-1 x方向速度分布(x=1.6D)
図7-2 x方向速度分布(x=2.6D)

x-y中心断面のx方向速度分布

x-y中心(z=0)断面でのx方向速度分布を図8に示します。合流部から下流に向かって実験値とのずれが大きくなっています。比較した乱流モデルの中では,標準k-eモデルが最も誤差が小さくなっています。

図8-1 x方向速度分布(x=1.6D)
図8-2 x方向速度分布(x=2.6D)

温度分布

壁面付近(壁面から1mm)のx方向温度分布を図9に示します。SST k-wモデルが最も誤差が小さくなっています。

図9 温度分布(θ=0)

参考文献

  1. Smith, B.L. et al., Report of the OECD/NEA-Vattenfall T-Junction Benchmark exercise, EA/CSNI/R(2011)5.

精度検証カテゴリの最新記事