パッシブスカラーによる汚染物質の広がり

パッシブスカラーによる汚染物質の広がり

1. はじめに

OpenFOAM®では、物質種の移流拡散方程式(もしくはパッシブスカラー)を考慮した解析が可能です。
本事例では、図1に示す計算領域において、液体中の汚染物質濃度をパッシブスカラーで表現して解析をおこないました。
パッシブスカラーとは、流況に影響を与えないスカラー量のことです。例えば、流体に何らかの物質が溶けているとき、その溶けている物質が流体の密度や粘性に及ぼす影響が無視できる場合は、解けている物質の濃度をパッシブスカラーとして扱うことが可能です。

パッシブスカラーによる流体解析事例

液体は、図2に示すように2か所から流入させました。一方からは汚染されていない液体を流入させ、もう一方は汚染された液体を流入させました。

流入させる液体中の汚染物質の濃度は、図3に示すように変化させました。

2. 解析結果

解析結果の動画を示します。
動画1は汚染物質の濃度のコンター図です。赤い箇所が汚染された液体を示します。2つの流出口から交互に系外に排出されていく様子を確認することができます。
動画2はパーティクルによって可視化しています。パーティクルの色は、汚染物質の濃度です。流体解析では、ニーズに応じて様々な方法で結果項目を表示することができます。

 

このように、パッシブスカラーで液体の一部を着色することで、流入口と流出口が複数存在する流れ場であっても、汚染物質がどのように広がり流出していくか追跡・把握することができます。

また、本事例では液体の挙動を解析しましたが、気体の流動解析にも適用できるため、水質汚染の問題以外にも、排気ガスの拡散等、OpenFOAMは様々な環境アセスメントのツールとして活用することができます。

 

 

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