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解析事例

レーザー照射解析ソルバーを用いたキーホール形成の解析

レーザー照射解析ソルバーを用いたキーホール形成の解析サムネイル画像

OpenFOAM

1. 解析概要

レーザー照射による溶接では,単位面積当たりのエネルギーが大きいレーザー光線により金属の溶融・蒸発が生じます。このとき,金属の蒸発により発生した蒸発反発力により,金属に孔が形成されます。レーザー光線は形成された孔の側面で反射を繰り返すことでエネルギー移動が最も大きい箇所が孔の底部に発生し,孔がより深くなっていきます。この過程で金属内に形成された孔はキーホールと呼ばれます。

 

キーホールの形成過程を解析するためには,金属の蒸発に伴って生じる蒸発反発力とレーザー光線の多重反射の考慮(レイトレーシングアルゴリズム)が必要となります。本解析では,OpenFOAMのinterFoam(VOF法)を元にして弊社が開発したレーザー照射解析ソルバーを用いたキーホール形成過程の解析をご紹介します。

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2. レーザ照射解析ソルバーの概要

レーザー照射解析ソルバーでは,レーザー光線は複数の光線の束から構成されるものとし,束としたひとつひとつのレーザー光線を追跡します。

図1に示すように,レーザー光線は金属表面に到達すると,金属表面の反射率に反比例した量のエネルギーがレーザー光線から金属へと移動します。レーザー光線は,そのエネルギーがなくなるか,外部空間(解析領域外)へ抜け出るまで反射を繰り返します。

OpenFOAM-analysis-83-01
図1 レーザー光線の多重反射

また,レーザー照射解析ソルバーは,レーザー光線の種類として図2に示す3つの光線を指定できます。 

OpenFOAM-analysis-83-02
(a) 平行光線
OpenFOAM-analysis-83-03
(b) 発散光線
OpenFOAM-analysis-83-04
(c) 収束光線

図2 レーザ光線の種類

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3. 解析モデル

キーホール形成過程の解析空間を図3に示します。解析領域の大きさはx,y方向に1 mm,z方向に8mmで,下部に高さ7mmの軟鋼,上部に高さ1mmの空気の層を設けています。

 

メッシュのセル幅は,レーザー光線が照射され金属の溶融と蒸発が生じる中心の円筒領域で各軸方向にそれぞれ0.025mmとし,その外側の領域で0.05mmとしています。セル数は1 097 248セルです・レーザー照射面と 軸方向中心断面のメッシュを図4に示します。

 

レーザーはz軸方向に沿って金属表面に垂直に照射されます。金属は軟鋼としました。

 

本解析では,2章で示した3種類の光線を使用して解析を行います。金属表面でのレーザー光線幅は1mm,レーザー原点 p0(図2)を金属表面から0.75mm上部に設定しました。シミュレーション時間は10ms,レーザー照射時間は4msとしました。レーザーの設定を表1に示します。



OpenFOAM-analysis-83-05
図3 解析領域
OpenFOAM-analysis-83-06
図4 メッシュ

表1 レーザー光線の設定

 

  単位 平行光線 発散光線 収束光線
レーザ出力 W 9000 9000 9000
照射時間 ms 4 4 4
レーザ原点p0 mm ( 0 0 8.75 ) ( 0 0 8.75 ) ( 0 0 8.75 )
レーザ半径r0 mm 0.5 0.15 0.85
光線拡大係数a 0 0.2 0.2

 

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4. 解析結果

図5に平行光線,図6に発散光線,図7に収束光線の結果の動画を示します。

 

金属に孔が形成されると,孔の側面に照射されたレーザー光線は反射を繰り返すことで,光線の種類にかかわらず,エネルギー移動の大きい領域は孔の底部に発生します。しかし,図5,6,7の動画に示されるように,光線の種類によって深掘りの進行速度と孔の形状が異なってきます。なお,図5,6,7の断面コンター図は温度分布を示しています。

 図5 平行光線の結果 

平行光線の場合には,レーザー幅はレーザー光線の進行方向に関して一定であるため,レーザー光線は孔の側壁で反射を繰り返しながら孔の底部に達した後,上部に向けてまた反射を繰り返しながら金属外部の空間へ抜けます。 

 図6 発散光線の結果  

拡散光線の場合には,孔の側壁に当たるレーザー光線の入射角度が小さくなります。このため,平行光線に比べて孔の側壁でレーザーエネルギーをより大きく吸収することにより,キーホールの深さが浅くなります。 

 図7 収束光線の結果 

収束光線の場合には,焦点(z=4.25mm)に向かってレーザー光線は進行するため孔の側壁は湾曲せず直線的になり,キーホールは円錐形状となります。また,レーザー照射が終了した時間(t=4ms)以後に溶融した金属が埋め戻され,10msでは金属上部には円錐形のキーホールとなり,金属下部には細長い空洞部が残っています。 

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5. まとめ

ここでは,レーザー照射解析ソルバーを用いた金属のキーホール形成過程の解析の例をご紹介しました。レーザー照射解析ソルバーは,レーザー光線を追跡することによりレーザー照射による熱移動を評価します。したがって,レーザー照射による金属の溶融・凝固・蒸発による金属表面の形状の形成過程を評価でき,レーザー溶接・溶断の解析に使用できます。 

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■ 参考文献

人見,レイトレーシングアルゴリズムを用いたレーザ照射解析,第35回数値流体力学シンポジウム,2021 

 

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