仮想筋・一般化筋を使った車椅子(WheelChair)を漕ぐ人のモデル化例

仮想筋・一般化筋を使った車椅子(WheelChair)を漕ぐ人のモデル化例

AnyBodyの主な力要素である 仮想筋、一般化筋(AnyGeneralMuscle )は、トルク伝達要素(JointMomentMuscle)としても使えます。

ここではこの要素を使用した、車椅子を漕ぐ人のモデル化を紹介します。
本モデルにおいては、人体動作の測定情報は不使用です(ちなみに、ここで設定した人体動作は、測定動作で置き換えることもできます。)。

条件として、
————-
●車いす~人体系が、一定加速度α で加速するものとします。ここでは、人体推進動作・タイヤの回転運動を模擬します。
●グローバル系でのモデル化を行います。推進時の慣性力(G)が考慮されます。
●タイヤは地面と1点で接触するものとします。タイヤと地面の間には、滑りは生じないものとします。
————-

<モデル化概要>

手~床への力の伝達メカニズムを模擬するため、以下のようなモデリングを行います。

<車輪Segの設定>
・車輪を、円盤状のセグメントとして追加します。セグメント(円盤)には、手による推進(接触)位置が設定してあり、人体と仮想筋にて連結しています。

<モーメントアームSegの設定>
・車軸から床面に向けた剛体棒を設定します。これは常に、鉛直方向下を向き、床面検知(接する)ような仮想的剛体です。

<回転の仮想筋:( MomentMuscle :トルク伝達)導入>
・車輪Segと、モーメントアームSegは、同じ車軸の点を共有します。ただし本体(座面その他)に対しては、ヒンジによる一軸フリー回転です。
・車輪Segの軸と、モーメントアームSegの軸間に、モーメント伝達要素としての、仮想筋(MomentMuscle)を導入します。

<床面と、モーメントアームSeg>
・モーメントアームSeg端部が、常に床面と接触しているものとし、推進反力および鉛直方向反力を生成するため、床面に対して、仮想筋導入します。これは水平方向と垂直方向の仮想筋です。

車体+人の慣性力と、車輪回転にともなう床接触部反力によって推進力(常に床を横に蹴とばす力)が決まります。これは、モーメントアームSeg端部が常に発揮すべき力です。
MomentMuscleを介し、モーメントアームSegのトルクと車輪Segが受けるトルクが定まり、推進(接触)位置を介して、人体が発揮すべき筋力が推定されます。

ちなみにここでは、動作(姿勢)としては、以下を仮定しています。
・車椅子と人体間(シート着座位置、フットレスト位置)にずれは生じないものとします。
・車体+人の挙動(ここでは車軸の速度/加速度)が定まっていれば、ずれが生じていない前提で、タイヤの回転=手の動き(=推進(接触)位置の動き)が定まります。
・推進には、肩関節・肘関節・股関節・胸腰関節動作がなされるものとしました。


仮想筋の説明(ユーザ様向け)→ 『仮想筋とは何ですか?』

理学療法/リハビリカテゴリの最新記事