OpenFOAMによる熱硬化性樹脂のポッティング解析

OpenFOAMによる熱硬化性樹脂のポッティング解析

熱硬化性樹脂のポッティング解析事例を示す。流入口の高さを変更した計算を2ケース実施し、トラップされるエアーの位置を比較する。図1にモデル図を示す。計算は、非定常-3次元-非圧縮性解析としとする。

物性値
空気 : 密度=1 [kg/m3]
    粘性係数=1.48e-5 [Pa・s]
    比熱=1000 [J/(kg・K)]
樹脂 : 密度=1100 [kg/m3]
    粘性係数=Macoskoモデル
比熱=1800 [J/(kg・K)]

粘度モデル

充填中の硬化反応を考慮するため、kamalモデルによる反応速度とMacoskoモデルによる反応率に依存した粘度変化を再現した。

●解析結果

樹脂が型に充填してく様子(上)と、空気がトラップされる様子(下)を示す。 流入口の位置を変更したことで、エアートラップが改善されました。

ケース1

ケース2

図5. 樹脂が充填していく様子(上段:樹脂、下段:空気)

反応の進行状況を示す。
ケース1では、早い時間に基板と床に挟まれた領域への樹脂の供給が止まるため、流れが停滞し、樹脂温度が上昇します。このため、反応が速く進み粘度も高くなり、空気が抜けにくくなります。一方、ケース2では、直接、基板と床に挟まれた領域に樹脂が供給されるため、最後まで流れが発生し、空気が抜けやすくなっています。

ケース1

ケース2

図6. 反応の進行状況(上:斜め上方向の視点、下:斜め下方向の視点)

まとめ

・OpenFOAMをカスタマイズすることで、硬化反応を考慮したポッティング解析が可能です。

・ボイドトラップが起きにくい成形条件を調査する事が可能です。(成形条件としては、ノズルの位置、ノズルパターン、ベントの位置、重力の向き、部品配置、樹脂の粘度等が考えられます)

・解析を実施する事により、試作回数を削減するだけでなく、適切な成形条件を調査するための期間の短縮も図れます。

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