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解析事例

chtMultiRegionFoamによる筐体の熱流体解析

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1. OpenFOAMによる熱流体解析

OpenFOAMはopenfoam foundationが公開している無償の熱流体解析ソルバーで、誰でも自由にライセンスを気にすることなく使うことができます。所有しているPCに何台でもインストールして計算することも可能ですし、数10、数100並列の大規模計算も無償で実行できます。 

 

OpenFOAM_78

 

OpenFOAMは市販の流体解析ソフトと同等の機能を有しているため、世界中の流体解析者が様々な用途で利用しています。一方で、コマンドベースの操作が基本となるため、苦手とする分野も存在します。OpenFOAMは、計算フォルダに0、constant、systemの3個のフォルダを準備し、計算内容に応じて所定のファイルを各フォルダに作成して計算する必要があります。固体内の熱伝導を考慮可能な単相の非圧縮-非定常のソルバーchtMultiRegionFoamを利用した計算では、0、constant、systemの3個のフォルダ下に、さらに材料毎にフォルダを作成し、ファイル準備する必要があります。また、材料毎に、他の材料と接しているサーフェースにそれぞれ境界条件を設定する必要があります。このため固体部品の種類が多いほど、モデル設定作業が複雑になってしまいます。 

 

OpenFOAM_79

例えば、右図に示す、基板(FR-4)とチップ(シリコン)の2種類の固体材料を含むシンプルな筐体内の熱流体解析を考えます。 

計算フォルダの構成

材料毎にフォルダを分けて作成する必要があるため、計算フォルダの構成は以下となります。

 

OpenFOAM_80

 

通常、計算ディレクトリ下に0、constant、systemディレクトリを作ります。0ディレクトリには、T、p、Uファイル等を、constantディレクトリ下にはpolyMeshディレクトリ等を、systemディレクトリ下にはfvSchemesやfvSolutionファイルを配置します。chtMultiRegionFoamでは、0、constant、systemディレクトリ下に、物性ごとのディレクトリを配置します。

 

さらに、材料毎に他の材料と接しているサーフェスを分けて指定する必要があります。

 

境界条件(パッチ)の設定が必要な個所

① 基板とチップが接している面
② 基板と空気が接している面
③ チップと基板が接している面
④ チップと空気が接している面
⑤ 空気とチップが接している面
⑥ 空気と基板が接している面
⑦ 流入口
⑧ 流出口
⑨ 筐体壁面

 

モデル内に存在する個体材料の種類が増えるほど、モデル作成作業が複雑になってしまいます。今回の例では筐体はモデル化していませんが、筐体も個体材料としてモデル化する場合、フォルダと境界条件の設定はさらに増えることになります。

 

これらの問題を回避する方法の一つとして、市販ソフトの利用が挙げられます。本解析事例では、(米)アルテア社のプリプロセッサHyperMeshを利用してOpenFOAM用のメッシュを作成しました。

HyperWorksの紹介ページ
HyperWorksを利用すると、コマンドで境界条件(パッチ)を設定するより作業時間を大幅に短縮できます。

2. モデル概要

chtMultiRegionFoamソルバーで、固体内の熱伝導を含む筐体の熱流体解析を実施しました。図1にモデルの概要図を示します。8個の個体材料を定義し、流入口と流出口を1か所ずつ設定しました。なお、流入口にはポーラス体を定義しました。CPU、チップA、チップBにそれぞれ発熱量を定義し、ケース外壁は断熱としました。

計算は4ケースおこない、ケース1-1から1-3では通風抵抗(システムインピーダンス)を確認するため流出口に速度を定義しました。ケース2ではP-Q特性によるファンモデルを設定して計算しました。また、輻射モデルはfvDOM法を定義しました。なお、計算は3次元-定常-非圧縮としました。表1に計算ケースを示します。

  • OpenFOAM_99

3. 計算条件

図2に計算条件を示します。図3にケースで流出口に定義したP-Q特性を、表2に個体材料の材質を示します。なお、流入口のポーラスモデルはDarcy-Forchheimer則を適用しました。 

 

  • OpenFOAM_98.fw

◆空気の物性値
密度:1.2 [kg/m3]
粘性係数:1.8×10-5 [Pa・s]
プラントル数:0.71 [-]

◆ 輻射
fvDOM法

4. OpenFOAMの計算フォルダ

固体内の熱伝導を含む単相の熱計算では、chtMultiRegionFoamソルバーで計算する必要がありますが、異なる材料毎にフォルダを分けてモデルを作成する必要があります。本モデルは流体が1種類、固体材料が8種類のため、計算フォルダの構成は以下になります。  

 

OpenFOAM_85

 

5. 計算結果①(ケース1-1~1-3)

図4に、ケース1-1から1-3の中心断面における流速のコンター図を示します。表3に、ケース1-1から1-3の流量と圧力損失を示します。 

 

OpenFOAM_86

 

表3の結果から、本モデルの通風抵抗(システムインピーダンス)をExcelの近似曲線機能を使って作成しました。 

OpenFOAM_87
OpenFOAM_88

6. 計算結果②(ケース2)

図6にケース2の中心断面の流速を、図7に流跡線を示します。 

OpenFOAM_89

図8に表面温度のコンター図を、表4に測定ポイント1~5の温度を示します。 

 

OpenFOAM_90

図8. 表面温度のコンター図[℃] 

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