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Mat. Curve Modeller/VE 概要

概要

プラスチックやゴムを始めとする多くの材料は、変形させるとひずみ起因とひずみ速度起因の応力が発生します。
これは、これらの材料が弾性的性質と粘性的性質を併せ持っているためで、粘弾性体とよばれています。こうした材料の特性は、動的粘弾性装置を用いた周波数依存特性の実験により得られます。しかし、変形、流動解析で必要となる緩和弾性率特性に変換するためには、データの変換ツールが必要になります。

そこで開発されたのが、本ツール:Mat. Curve Modeller /VEです。VEはVisco-Elastic(粘弾性)を表します。

実験で得られるG’(貯蔵弾性率)、G”(損失弾性率)、およびω(周波数)のデータと、一般化MaxwellモデルあるいはZenarモデル(プロニー級数) との関係式をもとに、緩和弾性率特性用の係数を最適化するCAE支援ツールです。また、異なる温度条件で得られた実験データをもとに、温度依存係数も併せて最適化します。

対象ソフトウェア:
BlowView、LS-DYNA、Radioss、OptiStruct

 


■ 動的粘弾性測定装置(DMA) Dynamic Mechanical Analyzer

試験片に定常的な正弦波ひずみを与え応答応力を測定します。同時に入力ひずみと応答出力の位相差を計測し、粘弾性体の挙動(弾性と粘性成分の寄与、温度特性、周波数特性など)を調べる測定装置です。


■ 動的粘弾性測定装置(DMA)で得られる特性値

液体試験用で得られる弾性率はせん断弾性率で通常Gで表します。固体試験用で得られる弾性率は縦弾性率で通常Eで表します。両者の関係は次式となります。

νはポアソン比で応力に直角方向に発生するひずみと応力方向に発生するひずみの比に-1を乗じた値で、材料固有値です。上式を用いてEGは換算できます。ここでは弾性率はGという定義に統一しておきます。


■ 緩和弾性率モデルへの置き換え

ばね(弾性要素)とダッシュポット(粘性要素)を直列に接続したMaxwellモデルを、複数並列に組み合わせた形は一般化Maxwellモデルとよばれます。さらにその並列接続の横にばね単独要素を加えた形をZenarモデル、またはプロニー級数とよびます。これらのモデルを用いることで緩和弾性率を表現します。
(1),(2)式の関係があり、 Mat. Curve Modeller /VEを用いて最適係数を求めます。

緩和弾性率特性を表すモデルと使用式

ここでは一般化Maxwellモデルにばね単独要素を加えたZenarモデルを用いる。これにより長時間経過後に所定の弾性率に収束する特性を有する材料にも適用される。ばね単独要素の必要性が低い半溶融体のような場合は、この値を0にしておけば、通常の一般化Maxwellモデルとして使える。


(5)式の形をプロニー級数(Prony series)とよぶ。
各係数は緩和スペクトルとよばれる。


■ 温度依存式について

緩和弾性率G(t)を温度を変えて測定すると、(a)図のように基準温度Trの曲線を時間軸方向に所定の比率で縮小や拡大した形が得られる場合が多いです。この比率を表す指標が、時間・温度移動因子aT(T)です。同じ弾性率を選び、aT(T)を求めると次式となります。

ここで次の温度依存WLFモデル式を用います。

(6)、(7)式で得られたaTの値とそのときの温度を(8)式に代入すると、未知数は係数C1,C2となり、連立方程式を解くことでこれらの値が求められます。実際には、すべてのデータを用い、誤差が最小になるようにC1,C2が決定されます。(5)式に示した緩和弾性率式の基準温度における緩和時間λi(Tr)にaTの値を乗じることで、それぞれの温度における緩和時間を求める形にします。

横軸をt/aTにして、(b)図のように各温度でのデータが重なれば、時間・温度換算則が成立していることになり、この曲線を緩和弾性率のマスター曲線といいます。
(この取扱いが可能なのは、温度範囲にガラス転移温度など、分子運動挙動が急激に変化する状況が含まれていない場合です)




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